聖ウァレンティヌスの思召しに倣って

「恋人たちの日」として祝われるようになったバレンタインデー。その由来は3世紀のローマにまで遡ります。当時のローマ帝国皇帝・クラウディウス2世は、愛する人を故郷に残した兵士がいると士気が下がるという理由から、兵士たちの婚姻を禁止していました。そんな中、婚姻を禁止されて嘆き悲しむ兵士たちを憐れみ、隠れて兵士たちの結婚式を行っていたのが、キリスト教司祭であるウァレンティヌスでした。

 

彼の噂はやがて皇帝の耳に入り、怒った皇帝はウァレンティヌスに二度とそのようなことがないように命令しました。しかし、ウァレンティヌスは毅然と自らの意志を貫いたがために処刑されてしまいます。後世の人々は、彼の勇気ある行動を讃えると共に、愛の守護聖人「聖ウァレンティヌス」として祀るようになり、ウァレンティヌスが処刑された2月14日を「Saint Valentineʼs Day」と呼び、お祝いするようになったのです。

 

ウァレンティヌスの死から1000年以上経った14世紀以降になると、聖ウァレンティヌスを悼む宗教行事だったバレンタインデーが、カップルが愛を祝う日として定着していき、現代では世界各国で恋人や家族などと愛を祝う日になっています。

 

自分磨きにお勧めの展示会情報

千代田区:静嘉堂文庫美術館

岩崎家のお雛様<2024年2月17日(土) 〜 3月31日(日) >

三菱第四代社長・岩﨑小彌太(1879~1945)が孝子夫人(1888~1975)のために京都の人形司・丸平大木人形店(丸平)で誂えた「岩﨑家雛人形」。その内裏雛は、白くつややかな丸いお顔が愛らしい稚児雛(ちごびな)です。小彌太の本邸客間を飾った雛人形は戦後散逸しましたが、2018年、当館に揃って寄贈され、里帰りをはたしました。
本展では、小彌太の還暦を祝し丸平に特注した「木彫彩色御所人形」のほか、丸平文庫が所蔵する岩﨑家旧蔵の御所人形も展示。岩﨑家に伝わった「白綸子地松竹梅鶴模様打掛」(個人蔵)なども初公開いたします。


千代田区:出光美術館

生誕300年記念 池大雅—陽光の山水<2024年2月10日(土)~3月24日(日)>

墨や色の点描だけで樹葉のさざめきや水面のきらめきが表された山水。はるか遠い中国の西湖や瀟湘八景の景勝地にいまも私たちを降り立たせてくれる山水画は、日本の自然をこよなく愛した池大雅(いけのたいが)(1723 – 76)の登山体験から生まれました。幼少より中国の文人文化に憧れた大雅の清らかな人となりを紐解きながら、富士図から中国の名勝図、四季山水図に至るまで体感的な山水画の秘密を探ります。優しく喜びに満ちあふれた筆づかいに、心うるおうひと時をお楽しみください。


港区:サントリー美術館

四百年遠忌記念特別展  大名茶人 織田有楽斎<2024年1月31日(水) ~ 3月24日(日)>

織田信長の弟・織田有楽斎(長益、1547~1621)は、信長、秀吉、家康の三天下人に仕えて戦乱の世を生き抜く一方、茶の湯を深く愛好しました。京都・建仁寺の塔頭である正伝院内に建てた国宝の茶室「如庵」をはじめ、有楽斎の美意識は現代の茶道に息づき、規範とされています。本展は、織田有楽斎の四百年遠忌に際し、有楽斎ゆかりの寺・正伝永源院の寺宝を紹介するとともに、有楽斎にまつわる茶道具の名品や手紙などからその稀有な人物像に迫ります。